「完成車のまま選ばれにくい条件だったからこそ、むしろ“いちばん面白い一台”になりました。」
今回ご紹介する FUJI STAUT(eirinオリジナルカスタム) は、2025年モデル・大きめサイズ・キズありというアウトレット車をベースに、実用性・世界観・遊び心をすべて上書きする発想で組み上げた一台です。
小径×太タイヤ×積載というSTAUT本来の魅力を最大限に引き出し、「気になる条件」は弱点ではなく、この仕様だからこそ成立する個性へ。
街乗りから寄り道、荷物を積んだツーリングまで、最初から“ちょうどいい完成度”で楽しめるカスタムバイクに仕上がっています。
なぜこの仕様にしたのか。どんな使い方がハマるのか。この記事では、eirinがこのSTAUTをどう料理したのかを、順を追って紹介していきます。
FUJI STAUT(original custom bike)

【eirin販売価格】¥164,300(税込)
【カラー】Retro Orange
【サイズ(適応身長目安)】55(172~185cm)
FUJI STAUTとは
グラベルバイクやATBの世界観を、そのままぎゅっと小径に凝縮したミニチュア版アドベンチャーバイク、それが FUJI STAUT 。

ムチムチぷりぷりの太タイヤに、クロモリフレーム、豊富なダボ穴。見た目はウルトラキュートなのに、中身は本格派。
「小さいけれど、できることはデカい」──そんなギャップが、このバイク最大の魅力。
コンセプトとしては、VELO ORANGE NEUTRINOに通じる“アドベンチャー×小径”の思想。
さらに言えば、OLD MTBスタイルにモダンスペックを融合した FUJI ALTERR を、そのままミニチュア化したような存在といった印象。自動二輪で言えば、モンキーやゴリラのような立ち位置。
本来はかなりマニアックな発想のバイクですが、STAUTはそのクセを親しみやすさと可愛さで包み込んでくれています。
特徴は以下の通り。
- クロモリフレーム+太タイヤ+多数のダボ穴を備えた、アドベンチャーバイク譲りの設計
- 標準20×1.95″タイヤ、最大2.4″まで対応するワイドなタイヤクリアランス
- フェンダー・キャリア・バイクパッキング・センタースタンドまで対応し、用途は完全フリー
- 451ホイール化やドロップハンドル化など、カスタムの余白が非常に大きい
悪路では本来、大径ホイールのほうが有利。それを分かっていながら、あえて小径で全部やろうとする、このちょっとした“暴挙”がSTAUTらしさです。
だからこそ、バイクギークの心も、初心者の「なんか楽しそう…」という直感も、どちらもがっちり掴んでくる。
詳しくなくても乗りたくなる。でも、分かってくるとどんどんいじりたくなる。
STAUTは、最初の一台としても、遊び尽くすベース車としても成立する、とてもFUJIらしい一台です。
カスタム詳細

今回ご紹介する FUJI STAUT は、2025年モデル/大きめサイズ/キズありのアウトレット車をベースに
「だったらいっそ、振り切って遊ぼう」という発想で組み上げた eirinオリジナルカスタム です。
正直なところ、
- サイズが限られる
- 外観に小キズがある
といった理由で、完成車のままでは“選ぶ人を選ぶ”個体。
だからこそ今回は、 実用性・世界観・遊び心を一気に底上げするカスタムを施し、「気にならない」どころか「むしろこの仕様がいい」と思ってもらえる一台に仕上げました!
カスタムポイント①|フロントラック
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今回まず手を入れたのが、STAUTのキャラクターを一気に“使えるバイク”へ引き上げるフロントラック。
インストールしたのは ADEPT TRUSS PORTER RACK。さらに20インチホイールにしっかり対応させるため、 ADEPT:RACK LEG for 20inch を組み合わせています。
TRUSS PORTER RACKは ✔ 価格が抑えめ ✔ 見た目がチープにならない ✔ 積載力も十分 という三拍子が揃った、フロントラックの定番モデル。
STAUTのような小径・太タイヤのバイクに付けてもバランスが良く、「後付け感」が出にくいのもポイント。
特に今回は、 "アドベンチャー寄りの世界観" "街乗り〜ちょっとした遠出まで想定" という使い方を考えると、TRUSS PORTER RACKのちょうど良さがドンピシャ。
STAUTの“遊べる余白”を、まずはフロント積載からしっかり広げていく。このカスタムが、今回の一台の方向性を決める土台になっています。
カスタムポイント②|ハンドル&グリップ&ケーブル
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続いては、見た目の印象と乗り味を大きく左右するハンドルまわりのカスタム。
ハンドルには NITTO b354 Heron Bar をチョイスしました。
いわゆるアップライズ系のクルーザーバーで、STAUTのホリゾンタル基調なフレームとの相性は抜群。
ライザーバーよりもリラックスしたポジションになりつつ、どこかOLD MTBやコミューター感のある雰囲気をしっかり演出してくれます。
「アドベンチャーだけど、気負わずラフに乗れる」 そんなSTAUTのキャラクターを、ハンドルで明確にしたイメージです。
※ハンドルクランプ径が純正31.8から24.5になる為、ステムも換装しております。(GIZA GP MS-28 100mm 84° 25.4mm)

ライド中ずっと触れているからこそ差が出るグリップ。ここには ESI Ribbed Chunky をインストールしています。
Ribbed Chunkyは、名前の通り**8つの溝(リブ)**が特徴的なシリコングリップ。この溝が指にしっかり引っかかることで、握ったときの安定感が非常に高く、荒れた路面や段差でもハンドルをコントロールしやすくなります。
太さはESIの定番「Chunky」と同じ。 しっかりボリュームがあり、クッション性も文句なしです。

そして、地味だけど効いてくるのがケーブル類。今回は ニッセンケーブル SP31 ・シフトケーブル ・ブレーキケーブル ともに クリア仕様で統一しています。
性能面が格段と良くなるのはもちろんですが、このクリアケーブルが入ることで、ブラックでまとめた車体の中に軽さが出る
シルバーパーツとの統一感が増すカスタム感が一段階アップすると、見た目の完成度がぐっと上がるのがポイント。
完成車状態ではなかなか選ばれない部分だからこそ、「ちゃんと手が入っている感」が伝わるカスタムです。
ハンドルで“方向性”を作り、 ケーブルで“仕上げる”。 この2点を変えるだけで、 STAUTは一気に完成車感のない、自分のバイクらしい佇まいになります。
カスタムポイント③|タイヤ

足まわりの印象と走りを大きく変えるのが、タイヤのボリュームアップ。今回インストールしたのは「SALT PLUS スティングタイヤ 20×2.30」です。
SALT PLUSのスティングタイヤは、BMX由来のタフさと、ストリートでの扱いやすさを両立したオールラウンドモデル。純正の20×1.95″から一気に2.3″へと太くすることで、STAUTの「ムチムチぷりぷり感」がさらに強調され、見た目のアドベンチャー感も一段アップしています。
このタイヤのポイントは、独自のトレッドパターン。センター部は路面抵抗を抑えた転がりの良い設計。アウター部はグリップ重視で、コーナーや荒れた路面でも安心◎街乗りはもちろん、砂利道や荒れた舗装路でも「怖さ」が出にくく、STAUTのキャラクターにぴったりな性格です。
太さがある分、空気圧を落として使えばクッション性とトラクションも大きく向上。小径ながら「ちゃんとラフに使える」足まわりに仕上がっています。
STAUTは最大2.4″まで対応する懐の深さがあるからこそ、こうした振り切ったタイヤチョイスが素直にハマりますね。
カスタムポイント④|サドル

サドルにはSelle Italia MILANO TURBO BONNIE をセレクト。1980年代の名作サドル 「Turbo 1980」 を、ヴィンテージテイストで復刻した Selle Italiaの限定モデル です。
艶のあるブラックレザーに施された刺繍、前後に配されたチタンカラーのメタルプレート。 どこかモーターサイクルライクな空気感をまとい、今回のSTAUTカスタムが目指す OLD MTB × アドベンチャー の世界観を、グッと大人っぽく引き締めてくれます。
ヴィンテージスタイルのバイクを組むなら、このサドルはまさに主役級。
黒革の光沢や刺繍の立体感がクロモリフレームの質感を引き立て、STAUTの“可愛さ”に渋さと色気をプラスしています。
見た目重視に見えて、実はクッション性も程よく、街乗り〜長めのライドまで快適。「雰囲気だけじゃない」あたりも、さすがSelle Italiaです。
カスタムポイント⑤|ペダル

ペダルにはMKS(三ヶ島製作所) SYLVAN GORDITO をインストール。
どんな車種にも自然に馴染む普遍的なデザインでありながら、よく見ると他にはない“らしさ”がある。そんな MADE IN JAPAN ならではの魅力が詰まったフラットペダルです。
モデル名の Gordito(ゴルディート) は、スペイン語で「ぽっちゃり」という意味。“ダーリン”のように、親しみや愛情を込めて使われる言葉でもあります。
その名の通り、Sylvan Touringと同じ 幅94mm をベースにしながら、縦方向を 85mm(+22mm) と長く設計。しっかりとした大きめプラットフォームで、足を安心して預けられる踏み心地が特徴です。
内部構造には カップ&コーンベアリング を採用。定期的にメンテナンスすることで、長く快適に使い続けられるのもMKSらしいポイントです。
さらに、側板&固定用M4ボタンネジは補修パーツの用意あり側板はアルマイト処理されたブラック仕様と、「壊れたら終わり」ではない安心感も魅力。
シルバー基調の今回のSTAUTカスタムにおいて、SYLVAN GORDITOは足元をさりげなく引き締めつつ、“ちゃんと使える道具感”をしっかり添えてくれています。
派手さはないけれど、踏めば分かる、使えば信頼できる。そんな日本ブランドらしいペダルチョイスです。
カスタムポイント⑥|スタンド

スタンドにはESGE(PLETSCHER) ダブルレッグ センタースタンド を採用。二本脚ならではの圧倒的な安定感と、スイスメイドらしい精度・耐久性で、1995年の登場以来ずっと支持され続けているロングセラーモデル。
今後さらに荷物を積む可能性ありというSTAUTには、この安心感が欠かせません。
二本脚スタンドというと「走行中に邪魔になりそう」という印象を持たれがちですが、ESGEはそこもよく考えられています。
走行時は脚が1本にまとまり、左チェーンステイ下へスマートに収納チェーンへの干渉もなく、見た目もすっきり。脚部はカット調整可能で、小径車から大型車まで対応。
さらに新型の取付パーツにより、チェーンステイ形状に合わせた微調整が可能になり、対応力も大幅に向上しています。
STAUTのような「止めて、積んで、眺めて楽しい」バイクにとって、駐輪時の安定感はかなり重要。ESGEダブルレッグスタンドは、その役割を確実に、しかも美しくこなしてくれる存在です。
価格は少し張りますが、長く使える信頼感と満足度を考えると、結果的にコスパの高いカスタムと言える思います。
■ カスタムの方向性まとめ
- フロントラックで積載力を一気にアドベンチャー仕様へ
- 20×2.35の極太タイヤでムチムチ感と走破性を両立
- ヘロンバー×シルバーパーツでOLD MTB感を強調
- ダブルレッグスタンドで日常使いの安定感も確保
■ eirinオリジナルカスタム内容
-
フロント積載
ADEPT:TRUSS PORTER RACK(MBK)
ADEPT:RACK LEG(BLK) -
コントロール系
NITTO:b354 Heron Bar(SIL)
GIZA:GP MS-28 ステム(100mm / 84° / 25.4mm) -
ケーブル
ニッセンケーブル: SP31 シフトセット(クリア) SP31 ブレーキセット(クリア) -
駆動・足回り
三ヶ島:SYLVAN GORDITO(SIL)
SALT:SALT PLUS STING TIRE 20×2.35 → 純正1.95″から大幅ボリュームアップ -
快適装備
PLETSCHER:ESGE ダブルレッグスタンド(SIL)
Selle Italia:MILANO TURBO BONNIE ESI:Ribbed Chunky(BLK)
まとめ|eirinオリジナルカスタムとしてのFUJI STAUT
- アウトレット車をベースに、弱点をすべて「魅力」に変換したeirinオリジナルカスタム
- 小径×太タイヤ×積載で、街乗りから寄り道・ツーリングまで対応する万能仕様
- 見た目だけでなく、実用性・快適性・耐久性までしっかり底上げ
- 完成車では得られない「最初から完成度の高いカスタムバイク」という価値
- サイズ・仕様がハマるなら、かなりお買い得な一点モノ

今回の FUJI STAUT は、ただパーツを足して派手にしたカスタムではありません。
「サイズが大きい」「キズがある」本来なら選ばれにくい条件を逆手に取り、どうせなら思いきり楽しめる一台にしよう、という発想から生まれたカスタムです。
このSTAUTに乗る人は、たぶん最初から“正解”を求めていないはず。寄り道したり、荷物を積んだり、たまには遠回りしてみたり。
そうやって使い込むほどに、「あ、この仕様でよかったな」と思える場面が増えていく。そんな未来が、自然と想像できる一台に仕上がっています。
完成車の枠を少しはみ出して、自分の時間を楽しむための道具としての自転車を探しているなら、このeirinオリジナルカスタムのSTAUTは、かなり面白い選択肢になるはずです。












