2026年モデルで大きな変貌を遂げた「MARIN NICASIO SE」。
長らく定番クロスバイクとして親しまれてきましたが、今回のリニューアルではタイヤクリアランスの拡張やボルト台座の増設といったポジティブな進化に加え、ハンドル形状の変更といった賛否を呼びそうな要素も盛り込まれています。
街乗りだけでなくツーリングやちょっとしたグラベルまでカバーできる拡張性を備えつつ、「速さよりも自分の時間を楽しみたい」というライダーに寄り添う存在へ。
新しく生まれ変わったNICASIO SE、その魅力と課題を展示会レポートとともにご紹介します。
2026.MARIN NICASIO SE(マリン|ニカシオSE)
【メーカー希望価格】¥87,890(税込)
【カラー(全4色)】Mat Black、Gloss Starry Blue Sky、Mat Brown / Grey、Mat Dark Mocha
【サイズ(適応身長目安)】50(155-165cm)、52(160-170cm)、54(165-175cm)、56(175-185cm)
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街乗り志向とアクティビティ性、その間で揺れる進化
2026年モデルの「MARIN NICASIO SE」は、まさに大変身。
当店でも定番クロスバイクとして長年追いかけてきたモデルですが、今回の大幅なリニューアルは一筋縄ではいかない内容で、正直“どう評価すべきか悩ましい”というのが第一印象でした。
特に注目すべきは3つのポイント。「タイヤクリアランスの拡張」、「ボルト台座の増設」、そして 「ハンドル形状の変更」 です。
最初の2点は素直に進化を感じられる改良ですが、ハンドルに関しては「好みが分かれそう」と感じる部分もあります。
タイヤクリアランスの拡張
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旧モデルは、650B規格であればロードプラス規格の太いタイヤに対応できたものの、700Cではグラベル用途としてはやや物足りない35c程度が限界でした。
2026年モデルではこの点が改良され、700×40c程度まで対応可能に。より幅広いタイヤ選択肢が加わったことで、走行フィールドがさらに広がりました。(それ以上の太さについては、実車入荷後に確認予定です)
クロスバイクとして使う方にとって、タイヤ規格を大きく変更するカスタムはあまり一般的ではありません。
しかし「グラベルバイクとして楽しみたい」というユーザーにとっては、今回のタイヤクリアランス拡張は走れるフィールドを広げてくれる大きなアップデートといえるでしょう。
ボルト台座の増設
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次に注目したいのはボルト台座の増設です。街乗り中心のユーザーにとってはあまり目立たないポイントかもしれませんが、旧モデルと比べると大幅に追加されており、キャリアやラック、各種アクセサリーの取り付け自由度が格段に向上しました。
これらのアップデートによって、NICASIO SEは従来のクロスバイクとしての使い方に加え、フラットバーグラベル、いわゆる“グラベルクロス”としてアクティビティを楽しめる拡張性が大きく広がりました。
ハンドル形状の変更
ハンドルは従来のフラットバーから、ローライズBMXハンドルへと変更されました。これによりハンドル位置が高くなり、よりアップライトな姿勢がとれるため、クロスバイク初心者でも扱いやすく、気軽に乗れるポジションとなっています。
一方で、アップライトすぎるポジションは加重がサドルに集中しやすく、お尻が痛くなりやすい点や、走行性能が下がる懸念も。
フレームがアクティビティに向けて進化したのに対し、ハンドルによって“街中&初心者色”が強まった印象を受けるのは否めません。 まさに賛否が分かれそうな変更点と言えるでしょう。
今回の変更は、登場当初から高い人気を誇ったNICASIO SEを、さらに進化させるための新たな試みといえます。
快適性や拡張性を求めるユーザーにとっては歓迎すべき進化でありつつ、一方で従来モデルの走行性能を好んでいたユーザーには賛否が分かれる部分もあるでしょう。
それでも「より多くの人にスポーツバイクの楽しさを広げたい」という意図が伝わるモデルチェンジです。
フレームジオメトリー
フレームサイズ | 50 | 52 | 54 | 56 |
HA | 70.5 | 70.5 | 72 | 72.5 |
SA | 74 | 73.5 | 73.5 | 73 |
TT | 515 | 525 | 545 | 565 |
HT | 130 | 145 | 155 | 170 |
FC | ||||
RC | 420 | 420 | 420 | 420 |
BB | 72 | 72 | 72 | 72 |
FO | 57 | 57 | 45 | 45 |
WB | 1000.22 | 993.92 | 999.2 | 1008.92 |
SH | 721.09 | 741.53 | 758.79 | 777.05 |
SK | 541.26 | 555.4 | 574.52 | 590.64 |
RH | 359.8 | 360.48 | 378.42 | 384.42 |
適応身長 | 155-165cm | 160-170cm | 165-175cm | 175-185cm |
NICASIO SEの魅力|クロモリ+650Bが生み出す「自由度」と「自分らしさ」
NICASIO SEは、クロスバイクの中でもユニークな存在です。
フレーム素材にはしなやかで耐久性に優れるクロモリを採用し、タイヤには650Bというマウンテンバイクに近い規格を取り入れることで、街乗りからアクティビティまで幅広く対応できる仕様になっています。
日本の道路事情を考えると、一般的にはアルミフレームに細身のタイヤを組み合わせたクロスバイクが主流です。そんな環境の中でクロモリフレームと650Bを採用するNICASIO SEは、従来のクロスバイク像に一石を投じる存在といえます。

じゃあ、なぜNICASIO SEはクロモリ+650Bなんて仕様にしたのか? それはやっぱり「街乗りだけじゃ終わらないクロスバイク」を作りたかったからだと思います。
クロモリフレームはしなやかで丈夫。ちょっとした段差や長時間のライドでも体に優しいし、ツーリングにもぴったり。 そこにMTB寄りの650Bホイールを合わせることで、太めのタイヤが履けて、街中の段差や未舗装路でも安心して走れるようになっています。
結果として生まれたのは「普段使いも遊びも両方こなせるクロスバイク」。この“+αの自由度”こそが人気の理由なんじゃないでしょうか。
さらに、細身のクロモリフレームはクラシックな雰囲気があって見た目もスタイリッシュ。「人と同じアルミクロスじゃつまらない」と思う人にとって、ちょっと個性的で、自分らしさを出せる選択肢になっているのだと思います。
もちろん、スピードだけで見れば一般的なクロスバイクには敵いません。でも、このバイクの真価はそこじゃないんだと思います。
ちょっとした砂利道や河川敷を、肩の力を抜いてゆったり走れる——そんな余裕を楽しめるのがNICASIO SEの魅力。「速さ」よりも「自分の時間を大切にしたい」っていう人にこそ乗ってもらいたい、そんな一台だと言えます。
扱いやすさと快適性を重視したスペック構成
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NICASIO SEの基本スペックは、1×8speed。とてもシンプルな変速構成です。 余計な操作がいらず、直感的に乗れるので、初めてクロスバイクに挑戦する人にもぴったりだと思います。
ブレーキには機械式ディスクブレーキを採用。街乗りでの使用を考えれば十分な制動力を備えており、シンプルな構造ゆえにメンテナンス性が高いのも魅力です。
タイヤにはWTB製の650×47ロードプラスタイヤを装備。太さによる高いクッション性と、オンロードでも軽快に走れる転がりの良さを両立しており、街乗りから週末のサイクリングまで幅広く対応します。
専用スタンドは2026年モデルも健在。
NICASIO SEのスペックは、シンプルで扱いやすい構成にまとめられています。1×8speedの変速は直感的で操作しやすく、機械式ディスクブレーキは街乗りには十分な制動力とメンテナンス性を確保。
さらにWTBの650×47ロードプラスタイヤが、クッション性と転がりの軽さを両立し、街中から週末のサイクリングまで快適な走行をサポートします。
派手さはないものの、初心者から気軽に楽しめるバランスの取れた仕様といえるでしょう。
スペック表
タイヤサイズ | 650b×47mm | |
変速数 | 1×8speed | |
ペダル | 付属 | |
スペック | フレーム | CrMo, Disc Specific, Beyond Road Geometry |
フォーク | 700CrMo, Fender and Rack Eyelets, Disc Brake Offset 57mm (50/52)・45mm (54/56) Marin Aluminum Double Wall, Disc Specific | |
クランクセット | Forged Alloy w/ 42T Steel Narrow/Wide Chainring | |
BB | Sealed Cartridge Bearing, Square Taper 68/122.5mm | |
Fメカ | N/A | |
Rメカ | Shimano RD-M310 Altus 8s | |
シフター | Shimao SL-315 8s | |
スプロケット | Shimano CS-HG31 Altus 8-Speed, 11-32T | |
ブレーキレバー | Tektro CL-330RS | |
ブレーキ | Tektro MD-M280 Mechanical Disc, 160mm rotor 6-bolts | |
タイヤ | WTB Horizon, Wire Bead, 650Bx47mm, Tan side wall | |
ホイール | Marin Aluminum Double Wall, Disc Specific Forged Aluminum Alloy, 32H 14g Stainless Steel |
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ハンドル | Alloy Butted; Width 580mm; Rise 5 Deg; bend 9deg; 31.8mm; flat top, W/ Marin laser logo | |
ステム | Marin Alloy 31.8mm | |
ヘッドセット | FSA No8B.7.8mm | |
サドル | Marin Fitness | |
シートポスト | Marin Alloy 27.2mm |
まとめ|自分らしいライドを楽しめるクロスバイク「NICASIO SE」
- タイヤクリアランス拡張&ボルト台座増設で拡張性アップ
- クロモリフレーム+650Bが生むしなやかさと個性
- 1×8speed変速と機械式ディスクで扱いやすさ◎
- WTB 650×47ロードプラスタイヤで快適かつ軽快な走行
- 「速さ」より「自分の時間」を大切にしたい人におすすめ
2026年モデルとして大きく変貌を遂げたNICASIO SE。タイヤクリアランスの拡張やボルト台座の増設は、街乗りだけでなくツーリングやグラベルといったアクティビティにまで対応できる拡張性を与えてくれました。
一方で、ハンドル形状の変更によるポジションは賛否が分かれるポイントでもあり、スポーツバイクとしての走行性能を求める人には物足りなく感じるかもしれません。
それでも「速さよりも自分らしい時間を楽しみたい」という人にとって、NICASIO SEはまさにフィットする一台。 街中の普段使いから河川敷やちょっとしたグラベルまで、自由で肩の力の抜けたライドを提案してくれる存在です。